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発達障害

当院の取り組み

当院の発達障害外来当院では、児童から成人まで幅広い年齢層の方の発達障害に対応しています。
発達障害は、子ども時代だけでなく、成人になってからも様々な形で生活に影響を及ぼすことがあります。
患者さんそれぞれの症状や状況に応じた適切なサポートを提供し、社会生活を少しでも安心して送れるように努めています。

発達障害とは?種類や特徴

発達障害は、自閉スペクトラム症、注意欠陥多動性障害、学習障害 などの脳機能の障害を指します。
これらの症状は通常、低年齢で現れます。

自閉症スペクトラム障害(ASD)

自閉スペクトラム症は、「社会的関係の形成の困難さ」「言葉の発達の遅れ」「興味や関心が特定のものに限定される」ことが特徴です。

特徴

  • コミュニケーションの障害(冗談や比喩が「理解できない」、人の気持ちを「理解しにくい」)
  • 予定の「変更」や日課や習慣の「変化」に弱い
  • 特定の物事に強い「こだわり」がある

など

注意欠陥多動性障害(ADHD)

ADHDは、不注意、衝動性、多動性を 特徴とし、これらが社会的な活動や学業に支障をきたす場合に診断されます。

特徴

  • 不注意(人の話を一定時間集中して聞くことができない、忘れ物が多い、物をよくなくす)
  • 衝動性(相手の話を待てない、予測や考えなしに行動する)
  • 多動(動き回る、じっとすることができない、しゃべりすぎる)

学習障害(LD)

学習障害では、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示します。

特徴

以下の3つのタイプに分けられます。

  • 算数障害(足し算や引き算が上手くできない)
  • 読字障害(文章が上手く読めない)
  • 書字表出障害(文字を上手く書けない)

いずれのタイプも他の発達障害との合併が多いとされています

発達障害の「グレーゾーン」について

発達障害の「グレーゾーン」

発達障害の「グレーゾーン」について発達障害における「グレーゾーン」とは、発達障害の診断基準に当てはまる項目があるものの、確定診断には至らない状態を意味します。

グレーゾーンに該当する方は、発達障害と確定診断を受けた人ほどではないにせよ、その特性から日常生活や人生においてさまざまな困難を抱えます。また、確定診断が下っていることが条件となる支援を受けられない・相談先が活用できないといった状況が重なり、その困難がより大きくなるケースも少なくありません。学校や職場でも、「発達障害である」とはっきり言えないことから、まわりからの理解・協力が得られにくいという現状もあります。

ただ、グレーゾーンであるから何も対処法がないというわけではありません。問診・検査・診断の結果から、それぞれの方に合った細やかなケアを行うことで、困難や生きづらさを軽減することが可能です。

グレーゾーンの診断と対処方法について

グレーゾーンの診断と対処方法について

発達障害は、一般的に精神科または心療内科において問診・心理検査を行い、発達障害の診断ガイドラインに則って診断されます。
ただ、定型発達(発達障害ではないこと)とグレーゾーン、グレーゾーンと発達障害の鑑別は、それほど簡単ではありません。
定型発達の人であっても、こだわりの強さなどの発達障害の特性が見られることは少なくないのです。
この難しさは、医療の進歩が足りていないというよりも、私たち人間の心の複雑さが大きな原因になっていると言えます。
そして、発達障害の特性は認められるものの先述したガイドラインの基準を満たさないケース、あるいはその方の置かれた環境が主に困難を引き起こしていると判断されたケースでは、発達障害の確定診断に至らないことがあります。
その他、精神疾患によって発達障害に似た特性・困難が生じていることもあり、この場合は原因となっている精神疾患に対する治療・対処が必要になります。

グレーゾーンにおける困難や生きづらさへの対処法

どのような困難・生きづらさを感じるかは、人によって異なります。ここでは、よくある困難・生きづらさと、その一般的な対処法をご紹介します。
当院では、問診・検査・診断の上、お一人おひとりの困りごとに丁寧に向き合ってまいります。

コミュニケーションがうまくとれない

「話そう」と意識し過ぎず、聞き役に徹するという方法があります。
また、実際に会う・テレビ電話・電話で話すことが苦手でも、メールやチャットなら問題ないというケースも少なくありません。
コミュニケーションがそれほど必要のない環境(職場)を選ぶことも検討してみましょう。

整理整頓ができない・部屋がいつも散らかっている

持ち物の数を減らす、物を置く場所を決めておく、使い終わったら元の位置に戻してから次の行動をとる、1日1ヵ所だけ片付けるといったルール作りや意識づけが大切です。

忘れ物・遅刻が多い

忘れ物については、目立つ場所にメモを貼る、スマホのTo Doやリマインダー機能・アプリを活用するといった方法があります。
遅刻については、目覚まし時計を少し遠い位置(起き上がって歩かないと届かない場所)に置く、スマホのアラーム機能で「〇〇をする」と表示させるといった方法があります。

思ったことをそのまま口にする・衝動的な行動をする

相手の言動を受けて、まずはひと呼吸を置いてから話す・行動するよう習慣づけましょう。
落ち着いて考えることで、トラブルの原因となる言動を未然に防ぎやすくなります。

仕事がスムーズに進められない

予定作業内容をリストアップし、優先順位をつけて1つずつクリアしていくことを意識しましょう。
また可能であれば、予めあるいは時間のある時に、「こういうことが苦手」と上司に伝えておき、必要なサポートが受けられる環境を整えましょう。

転職を繰り返している

「この業界で働きたい」というご希望はあるかと思いますが、一度ご自身の特性を整理し、働きやすさを優先した業界選びを検討してみましょう。
また同じ業界や会社であっても、仕事の内容によって働きやすさは異なります。

発達障害に関わる心理検査

診察室当院では、

  • WAIS-Ⅳ、WISC-Ⅴなどの知能検査
  • AQ、Conners3、CAARSなどの発達検査
  • STRAW-Rなどの読み書き検査

などの検査をおこなっています。
くわしくは受診時にご相談ください。